私は20年、社会人向けの研修をしています。
すると伸びる人には共通点があることがわかります。
その1つは素直さです。
知らないことを素直に知らないと言える人。
わからないことをわからないと言える人。
できないことをできないと言える人。
サラリーマンでも経営者でも素直な人はどんどん伸びていきます。
これは子供も同じで、素直に「わからないから教えて」と聞ける子は、説明を聞くと「あ、そっか!」と理解して次のステップに進んでいきます。
逆に「わからない」の一言がいえない子は、なかなか次に進むことができません。そういう子供をみると、「どうすれば、わからないと素直に言いやすくなるかな?」と一生懸命考えます。
先月のレッスンでも「わからない」が言えず、一人で悶々と悩んでいる生徒がいました。
見ていればすぐわかるので、私たちも教えたくもなりますが、その気持ちをグッとこらえて待ちました。 ここで手を差し伸べたら、誰かが気づいて教えてくれるのを待つ「受動的な習慣」が身についてしまうかもしれないからです。
代わりに、「わからないことがあったら聞けばいいんだよ」、「いつでも先生に聞いてよ」と種まきをしながら、彼が聞いてくるのをじっと待っていました。
けれど、この時のレッスンでは彼から聞いて来ることはありませんでした。
それから1ヶ月後のレッスン。
再びわからないことが出てきた彼は壁にぶつかっていました。 そしてそのままレッスン終了時刻に差し掛かった時、彼が泣きながら「どうしたらいいか、教えて」と足立先生に聞いてくれたのです。その涙はハッとするほど綺麗でした。
「わからない」が言えなくなる理由は色々あります。
学校で「わからない」といったら笑われた。
「そんなこともわからないの!」と怒られた。
わからなかった、できなかったために悔しい思いをしたり、自尊心が傷つく経験とすると、わからないと言いにくくなるものです。けれど、彼はその壁を超えてくれました。
「わからない」と「教えて欲しい」が言えるようになった彼が、これからどう成長するのか楽しみです。